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「あたりまえ」の話。

「あたりまえ」の話。ー山地真美ー

 

岡山県の田舎で育った私。山の麓の小さな小学校。

「岡山には何も無い」って子どもの頃の私は思っていました。山に登って秘密基地を作ったり、川で遊んで魚を獲ったり、近くの森にアケビや木の実を探しに行ったり。
この自然の中の暮らしが、私にとっての「あたりまえ」でした。

大学を卒業し、ピアニストになるために東京に行きました。
毎日毎日、満員電車の中ではみんながどこか無表情。たくさん人はいるのに、「何か」が無い。
音はたくさん聞こえてくるのに、「何か」が無い。

電車もたくさん来るし、モノも何だってあるのに。

都会に憧れて暮らしてみて。
便利で楽しい一方で、自然の中で育った私は何かが空っぽになっていくような、孤独感と焦燥感でいっぱいになっていきました。

電車の窓に映る人が皆、真顔でスマホを見ている状況をぼーっと見ていた時、ハッと生まれ育ったあの“ふるさとの自然”が私にとって必要な、大切な場所であったことに気が付きました。

 

 

 

留学に憧れ、ピアニストになるため海外に行きました。当時クラシックのピアノを頑張っていましたが、海外の土地で生きる人々、クラシックが生まれた西洋の文化のもとで今生きている人々にはどう頑張っても追いつけないことを知り、完全に打ちのめされて帰ってきました。挫折を味わいました。

しかし、色んな国の人に出会ったことで、「日本人ってなに?」
「私が世界に伝えたいことはなに?」と自分への疑問が生まれました。あたりまえに私が今生きている「日本」の素晴らしさにやっと気付きました。

自然と共存し、繊細な心で“もの”を大切にし、人と人が心を繋げてどんな災害や困難も乗り越えていく。

自然豊かな島国だからこそ、独自に培われてきた日本人にしかない「心のあり方」を大切にしたいと思いました。

私は今いろんな情景に赴き音を奏でていますが、何も「絶景であること」を伝えたいわけではありません。
情景や文化や町並みに込められた「人の想い」を音に乗せ、日本の良さを世界中に伝られる人になりたい、そしてそれを100年後に伝えていきたいと思っています。

「あたりまえ」こそが「ありがたい」のだと私は思います。

情景は常に変化し、目の前のものは常に色を変え、永遠に姿を変えないものはありません。

情景描写ピアニストとして100年後に伝えたい今の想い。音に乗せて届いた先に、素晴らしい日本の心が続いていますように。

 

<音楽て奏でる心の旅。4月6日岡山にてピアノライブ開催>
詳細はリンクから。一緒に日本の美しさを旅してみませんか。

「音の中の風景、映像の中の記憶 — あなたの心の旅が始まる」

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