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『平成29年1月号 教育時報 随想』へ 執筆

岡山県教育委員会発行の『平成29年1月号 教育時報 随想』へ執筆させていただきました。

岡山県教育委員会発行の『平成29年1月号 教育時報 随想』へ執筆させていただきました。

今回、2016年オリンピック出場の宮下遙さんや山田方谷6代目子孫の野島透さんなど素晴らしい方々が執筆されている中で、今の中高生に伝えたいメッセージを私なりに書かせていただきました。

 

【普通科高校、法学部からピアニストへ】

私が選んだ道は、かなり遠回りな選択でした。

音楽の道に挑戦したい気持ちは昔から心の奥底にあったのですが、「職業として難しい」「自分に向いている仕事が他にある」「ピアノが弾ける人は数多くいる」など様々な理由をつけて自分をごまかし、普通科高校に進学し、大学も国立大学の法学部に進学しました。

ピアニストになる大きなきっかけは、就職活動です。興味の有無に関わらず、あらゆる業種の説明会に参加したのですが、「本当にやりたいことがここにはないのかもしれない」という思いが芽生えてきました。

今でも鮮明に覚えているのが、就職活動で大阪に行っていたときのこと。

偶然にできた空き時間に、ふらっと立ち寄った本屋さんで一冊の本を手にしました。音楽療法についての本だったのですが、音楽の広い可能性を感じ、私にはやはり音楽なのだと決断し、ピアニストになることを決めました。

私が選んだ進路は一見すると遠回りに見えますが、私はそうは思っていません。幅広い経験や学んだことは、すべて自分の個性として生かされています。一見すると遠回りに見えることこそ、人生においては意味があるのだと思っています。

現在は東京でコンサート活動を行っています。演奏のみを仕事とするピアニストは沢山いますが、私は演奏はもちろん、作曲をして自己表現するという事に重点を置いています。自分の経験や記憶はすべて曲に反映されるわけで、岡山で生まれ育った私だからできることを突き詰めていくと、自然と岡山での生活から生まれた曲ばかりとなりました。現在は「岡山各地の情景を音楽で描く」ということを活動の方針としています。

何か物事に挑戦したいと思った時、あきらめる理由を探す事は非常に簡単です。

私の場合、「音大卒業じゃないから」「スタートが遅かったから」「グランドピアノがないから」「厳しい世界で生活が保障されないから」といったような、ピアニストの道に挑戦しない理由は探せばいくらでもありました。

しかしながら、そのような逆境を乗り越えていくからこそ、自分のメッセージも人に伝わるものに変わるような気がしています。

今は、定期的な海外演奏を通して「岡山の魅力を世界に発信する」ということに挑戦しています。

私のような「法学部出身のピアニストが世界へ挑戦し続ける」姿を見た若い人達に、自分が本当にやりたいことや、自分の生き方について改めて考えるきっかけを与えられるような人間でありたいと思っています。

(ピアニスト作曲家 岡山市出身)